初めて知った、親父の小言という格言集。
読むとなかなか良い。

現在のものは41項。古いものを手繰ると81あって、江戸時代が起源らしい。
以下は81の方。


■ 親父の小ごと

1.  火は粗末にするな

2.  朝、機嫌を良くしろ

3.  朝早く起きろ

4.  神仏(かみほとけ)を祈れ

5.  身を大切にもて

6.  不浄をみるな

7.  身の出世を願え

8.  不吉を言うな

9.  家内笑うて暮らせ

10.  人に腹を立たせるな

11.  人に恥をかかせるな

12.  人に割を食わせるな *損をさせるな

13.  人に馬鹿にされていろ

14.  人を羨むな

15.  利口は利口にしておけ

16.  年寄りをいたわれ

17.  恩はどうかして返せ

18.  万事油断をするな

19.  女房の言う事半分聞け

20.  子の言う事は九ッ聞くな

21.  家業は精を出(いだ)せ

22.  何事も我慢をしろ

23.  子供の頭を打つな

24.  己が股(もも)をつねれ *わが身をつねって人の痛さを知れ

25.  たんと儲けて使え

26.  借りて使うな

27.  人には貸してやれ

28.  女郎を買うな

29.  女房を探せ

30.  病人は労(いたわ)れ

31.  難渋な人には施せ

32.  始末をしろ *無駄遣いをするな

33.  生き物を殺すな

34.  鳥獣(とりけだもの)は食うな

35.  年忌・法事をよくしろ

36.  親の日は万事慎め *親の年忌・命日には謹慎しろ

37.  義理を欠くな

38.  子供はだまかせ *だまくらして上手に扱え

39.  女房に欺(だま)されるな

40.  博奕(ばくち)をするな

41.  喧嘩をするな

42.  大酒を飲むな

43.  大飯を食うな

44.  判事(はんごと)はするな *印判を押す=保証人になるな

45.  世話焼きになるな

46.  門口(かどぐち)を奇麗にしろ

47.  三日に氏神へ参れ

48.  晦日に内を掃除しろ

49.  貧乏を苦にするな

50.  火事の覚悟をしておけ

51.  火事には人をやれ、内を守れ *出火の際は消火要員を出す一方で家も守れ

52.  風吹きに遠出をするな

53.  火事には欲を捨てろ

54.  火口箱(ほくちばこ)を湿(しめ)すな *火打ち石などが入った道具箱を湿らすな

55.  水を絶やすな

56.  塩は絶やすな

57.  戸締まりをよくしろ

58.  夜更けに歩くな

59.  寒さを凌(しの)げ

60.  暑さも凌げ

61.  泊まりがけに出るな

62.  高見(たかみ)へ登るな *高見の見物のように傍観するな

63.  雷(らい)の鳴る時、仰向(あおむ)いて寝るな

64.  寒気(さむけ)の時、湯に入るな

65.  怪我と災難はバチと思え

66.  物を拾い、身に付けるな

67.  冬は物を取り、始末をして置け *冬場は物を大切に保管し、浪費をするな

68.  若い内は寝ずに稼げ

69.  年寄ったら楽をしろ

70.  折々に寺参りをしろ

71.  身寄りのない人を労(いたわ)れ

72.  小商物(こあきない)を値切るな *薄利の商売では値切るな

73.  風吹きには舟に乗るな

74.  何事も身分相応にしろ

75.  身持ち女は大切にしろ *妊婦は大事にしろ

76.  産後は、なお大切にしろ

77.  小便は小便所へしろ

78.  泣き言を言うな

79.  病気は仰山(ぎようさん)にしろ *病気は大袈裟に思え(軽々しく思うな)

80.  人の気を揉む時、力を付けてやれ

81.  悪しき事も「よし、よし」と祝い直せ

   以上、八十一ヶ条

   上様や大名方は生きた神 滅多にするとバチが怖いぞ

   我(われ)人と隔てのつくが凡夫(ぼんぷ)なり 仲良くするが仏付き合い

     嘉永五壬子(じんし)年九月吉日      施主 神田住




昔は人生50年。
親父程度では出てこないのでは?と思うほど、あまりに深い格言集なので、一人の人が作ったというより、何年もの間に蓄積されたものではなかろうか?

教訓にしたい。