2年で会社を変えられますか?
撤退か、改革か?
2年で代わらなければ10年たっても変われないという。

日本の会社幹部層における、経営リテラシー(戦略、マーケティング、組織変革など経営コンセプトに関する読み書き能力)が米国などに比べ低い。MBA(英米圏の専門職学位;経営学)的なものが日本では弱い?身についていないと本誌は指摘している。
大企業が抱える問題とそこに務める人々の心理、経営改革の進め方と注意点などを幾つかの事例からパータン化して一つの物語形式で説明してある内容。

内容の濃い一冊で、中規模以上の会社というものがどういうものであるのかがとてもよく解った。
本当に勉強になったと思う。


V字回復の経営


V字回復の経営
三枝 匡
日本経済新聞社
単行本




----以下レバレッジメモ-----------------------------------------------
ダメな企業ほど社内の危機意識が低く、たるんでいることが多い。
米国;トップの方針に逆らう、行動を怠るなど反抗的な部下への我慢の時間軸は日本では想像が出来ないくらい早い。
日本的な一番の解決策(全てを丸く収める)はそこにいる社員が今まで以上に有効な働きをすることである。
4人の必要な改革リーダー像(必要な要素ということで、小規模組織であれば1人での兼任もあり)
・スポンサー役
・力のリーダー
・智のリーダー
・動のリーダー
特に力のリーダーが弱いと途中で頓挫してしまう。

組織の危機感を高める経営手法は「危機感が足りない」と叫ぶことではない。トップ自らが矢面に立つ覚悟で社員の既成観念を突き崩していかなければ実際には何も起きない。

激しい議論は、成長企業の社内では良く見られるが、沈滞企業では大人気ないと思われている。情熱を持って突き進む者がしばしば「青い」と疎まれる。

今や日本人が勤勉だというのはウソである。働き者の米国人はたくさんいる。とりわけ役員やエリート層は日本人のほうが働かない。

調子の悪い会社は「上層部で大局的に語られている戦略」と「現場の実態」がつながっていない。沈滞企業は戦略だけいじくっても実態はよくならないし、現場の問題だけいじくってもダメ。両方をバラバラに扱うのではなく、一緒に俎上に載せないと打開できない。

改革時における推進者と抵抗者のパターン
A:改革先導者(イノベーター)
A1. 過激改革型
A2. 実力推進型(改革リーダー)
A3.積極行動型
A4.積極思索型
B:改革追随者(フォロワー)
B1.心情賛成型(改革早期フォロワー)
B2.中立型(改革中期フォロワー)
B3.心情抵抗型(改革後期フォロワー)
C:改革抵抗者
C1.確信抵抗型(反改革リーダー)
C2.過激抵抗型
D:人事更迭者
D1.更迭淡々型
D2.更新抵抗型
E:傍観者(外野席)
E1.上位関係型
E2.完全外野型

A1. 過激改革型:旧体制を過激に否定し、改革論理で先行する人。社員数千人の会社に数人しかいないという変種。思想的先駆者だが、しばしば突出しすぎて組織の支持を受けない。
具体的実行に落とし込む実務能力にかけていることが多い。強い指導者の下なら生かされるが、放し飼いは危険。改革リーダーの立場に立つと活動が途中でバラバラになりやすい。

A2. 実力推進型(改革リーダー):強いリスク志向を持っているがバランス感覚があり、論理的、実務的に詰めながら改革を推進できる人、プレッシャーに強く、いざとなれば既存体質を切り捨てる気骨を持つ。古い体質の会社ではこのタイプがA1とみなされて封じ込められたり、放逐されている事が多い。

A3..積極行動型:改革リーダーを行動的に支える人。まだ経験や力量不足だが将来のA2予備軍。早すぎる時期に経験不足でリーダーになると、しばしば自分だけが突出して「ひとりよがり」「やりすぎ」になったり、小さな成功で「傲慢」になるなどの症状を見せ、時に自滅、放逐の目に遭う。ただ、このタイプではその症状が麻疹のようなもので、その失敗を一度超えることによって打たれ強いA2になっていく。
ただ、途中で指導者と考えが合わなくなったり自分の利害に反したりすることが起こると反発し、その行動的な激しさから一気にCタイプになってしまう者もたまに出てくる。

A4..積極思考型:改革リーダーと思想・行動を共にするが、自身がリーダーになるには不向きな性格の人。聡明で人当たりがよく改革の当たりをソフトにしたり、逆に少し変わった人だが思想思索が深く、改革の知的発想を豊富にする人などが含まれる。一般に分析能力や文書能力に優れている。
強気の発言をしていたかと思えば意外にプレッシャーに弱い者が多く、修羅場の中で強い責任を負わせると先に参るのはこの類型。
時々やたらと明るく熱心に改革に同調するが、いざ具体的仕事になるとサッパリ無能という憎めないタイプがこの類型に紛れ込み、見間違えることがある。

B1.心情賛成型(改革早期フォロワー):心情的に改革の考え方は“正しい”と思いつつも、リスクを避けて様子見の姿勢をとる。時々、否定的な言葉を口にすることによって自分の立場に保険をかけている。
改革がうまく進みはじめれば、A3,A4に加わってくる改革先導者予備軍。社内の重要な人材は、改革の準備段階で少なくともこの類型にまで巻き込んでおくことが重要。口先では積極的なことを言っているくせに、いざとなると改革の責任やリスクを部下や社外から来た人に負わせて、自分はこの範疇に潜り込むずるいトップや役員も時々いる。

B2.中立型(改革中期フォロワー):危機感が低く変化願望も弱い「大衆層」の社員が多く含まれる。まずは“お手並み拝見”の態度をとり、改革の進み具合、自分の利害得失、周囲の反応などを見て、肯定否定いずれかの方向に動いていく。
肯定と否定の言葉を同時に口にすることで保険をかけている。改革が成功すれば「自分も初めからよいと思っていた」と言い、うまくいかなければ、「ダメだと思っていた」と言う。どちらに転んでも自分には関係がないと思っている罪のない人々だが、改革を成功させるためには、この大衆層を巻き込まなければならない。

B3.心情抵抗型(改革後期フォロワー):攻撃的態度まではとらないが、改革に明確な距離を置く、軽度の面従腹背。改革リーダーから見えないところで、A3やA4の人たちを冷やかしたりする。性格的にはごく普通の人が多い。改革の成り行きに納得する気持ちが強くなればB2方向に移動し、やがて新組織に同化していく。改革が失敗方向に動き始めたときには、この類型が急激に増殖し、C1方向に移動する人も増える。

C1.確信抵抗型(反改革リーダー):改革を“正しくない”と断じる論理ばかりか、改革者を個人的に「好きになれない」という強い感情を併せ持っている。実は感情のほうが先で論理は後からつけた人のほうが圧倒的に多い。思い込みが強いとC2に移るか、退職する。
日本企業には幼児性が強く甘えている社員が多いため、自分がどんな悪作用をばらまいているか自覚していない人もいる。改革の成果を見てシマッタと思う(感情を先行させているために論理判断を間違えたと後になって気づく)人もいるが、後悔しても遅い。そうなればもともと行動的なタイプのはずだからさっさと転職して楽しい人生を探せばいいと思うのだが、それほどのガッツもなく日陰で恵まれない人生を過ごす人も多い。
遠慮すれば、改革者が殺される。この類型の人が否定的言動を続け、前向きな人々をくじけさせ、改革の積み木を壊そうとするなら、断固として“切るべきガンは切る”事が必要になる。

C2.過激抵抗型:改革者と表立って対決し、場合によっては法的問題煮まで持ち込むなど、突出行動をとる。最後は退職ないし係争のケース。社内の支持者は少ないが、この類型が出現すると社内の改革熱は冷めてしまう。それがこの類型の思う壺である。改革者への個人的な恨みつらみ、思想的背景などがからんでいない限り、この類型の人は少ない。もし出現すれば改革者は一歩も引かず、食うか食われるかの戦いにならざるを得なくなる。

D1.更迭淡々型:過去の自分の責任を認識し、潔く淡々と後任への橋渡しを行って退陣していく。

D2.更新抵抗型:自分が辞めることを納得せず、改革者への抵抗を周囲に煽りつつ退陣していく。

E1.上位関係型:たとえば本社人事部、経理部など、改革部門に対して、牽制機能を有している上位組織や、社内取引の相手部署の人々。インフォーマル情報の媒体役を果たし、時に本社の「世論形成」に無視できない存在。とりわけ改革が苦しい局面に入ると重要性を増す。本社内で改革抵抗者に同調する意見が勝てば、本社役員を動かして改革リーダーを切り捨てる事態も起き得る。

E2.完全外野型:組織上の関係はないが、過去にその部署にいたことのある社員、社内の同期生や友人、取引先の社員など。最大の存在は家庭の配偶者。通常は関係ないが、噂の媒体役になったり、たまに重要関係者として出現する。

社員の多くがこれらの類型のどこに属するか、その「分布」によって改革の帰趨は決まってくる。しかしその分布は、時とともに大きく変動する。
「分布の移動」は、改革の「結果」として自然発生的に起きる面がある(「大衆」は結果を見て態度を決めることが多く、いわゆる「勝てば官軍」の現象を生み出す)が、それだけではない。成功する改革では、強い改革者が「分布の移動」を恣意的に引き起こす。断固たる覚悟と見識を示すことで、賛同者の「移動」を呼び込むのである。
その反応を強く起こすために必要なのは、「コンセプト」「シンプルなストーリー」「熱い語り」などの要素である。

組織を改革していくためには、社員が共有できる「コンセプト」「理論」「ツール」などを経営トップが提示することが重要である。もちろんそれらは明快で強力なものでなければならない。

事業の原点は“商売の基本サイクル”
創るって作って売る(開発→生産→販売)は企業競争の原始的構図であり、それをスピードよく回すことが、顧客満足の本質である。

肥大化した機能別組織 10の欠陥
1.事業責任が分かりにくい
2.損益責任が曖昧
3.「創って、作って、売る」が融和していない
4.顧客への距離感が遠い
5.少人数で意思決定が出来ない
6.社内コミニケーションが悪い
7.戦略が不明
8.新商品が育ちにくい
9.社内の競争意識が低い
10.経営者的人材の育成が遅れている

具体的には
新商品の狙いが不明確
勝負すべきことへの資源投入がいつも中途半端
会社の「商品戦略」が営業マンまで伝わっていない
競合企業の戦略が分かっていない
戦略がないから、負け戦の自覚もない
目先の売上の数字作りばかりにとらわれている

改革8つのステップ
1.成り行きのシナリオを描く
2.切迫感を抱く
3.原因を分析する
4.改革のシナリオを作る⇔5.戦略の意思決定をする
6.現場へ落とし込む
7.改革を実行する
8.成果を認知する

新しいことを手がけるたびに新手法の作り込みを重ねていく。改革コンセプトに準拠しつつ、現場で使える具体的ツールを埋め込む。この作業を手抜きすれば社員行動は変わらず、改革は観念に終わる。

改革の絵が示されたうえで、上から下への「魂の伝授」が大切。
魂とは何でしょうか。私は事業を先導する経営者にとって、あるいは経営者的人材の育成において、もっとも重要な要素は“高い志”であると思う。
----以上レバレッジメモ-----------------------------------------------





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